寛永15年(1638年)、時の南都奉行・中坊飛弾守は寺に移転を命じた。
ところが、その直後から悪疫がにわかに流行し、飛弾守の愛孫も原因不明の難病にとりつかれてしまった。
占いによると、”墓のたたり”と出たため、移転を取り消し、奉行職も辞任し、非礼をわびに寺に参詣した。
その帰り途、中興開山祐全上人(ゆうぜんしょうにん)が植えられたイチョウの木の下まできたところ、頭上よりバラバラとギンナンがこぼれ落ちてきた。
思わず木を見上げると、御仏の化身である白蛇の姿があり、この仏縁に感謝した飛弾守はギンナンを持ち帰り孫に食べさせた。
すると不思議にも難病は治ったという。
今も西方寺の参道には、この逸話を物語る樹齢四百年をこすイチョウの大木が現存している。
西方寺地図
アクセス
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