昔、楠正成が河内の赤坂城の戦いで破れて、敵におそわれ、田尻の十丈坊まで落ちのび清水を飲んでいた。
そこへ敵の大軍が国分峠から打ち寄せ、その時、敵の坂田新之丞の放った矢が正成の胸の辺りにあたった。
正成は驚いてその矢を抜くと、不思議にも一滴の血も流れず、なんの傷痕もなく、替りに、観音経を入れたお守り札に矢があたっていた。
これは日頃信心する御仏のご慈悲と、感激した正成がさっそく田尻のお堂に駆けつけ、本尊を拝すると、何と観音像の左胸のあたりから血が流れ、衣を染めていたという。
以来、この観音像は、俗に身替り観音といわれるようになり、今も奈良県北葛城郡香芝町関屋の観音寺に現存している。
観音寺地図
アクセス
近鉄大阪線「関屋駅」より徒歩約11分