浄土宗のご本尊とお仏壇の飾り方
宗祖のことば ―法然上人―
三心四修と申すことの候は
みな決定して南無阿弥陀仏にて
往生するぞと思ううちにこもり候なり
『一枚起請文』より
法然上人がご逝去される間近に、み弟子源智の願いによって、遺言のように書かれた『一枚起請文』のうちの一節です。
文字通り、一枚の紙に浄土宗の要領が簡潔に書かれています。
ここで上人は、従来念仏をとなえるには、ま心をこめてとか、深く信じてとか、浄土に生まれようと願ってとか、休まず死ぬまでとか、他の方法をまじえずとかいった姿勢が必要とされてきたが、これらすべてのことは、単に南無阿弥陀仏ととなえつつ、必ず往生すると思う気持ちのなかに包み含まれているのだと、指摘しているのです。
理由・理屈なく、念仏をとなえれば往生するという浄土宗の真髄を明らかにしている言葉です。
浄土宗のご本尊と歴史
ご本尊
阿弥陀如来(あみだにょらい)
脇侍
ご本尊に向かって右側…高祖善導大師
ご本尊に向かって左側…元祖圓光大師(法然上人)
お唱えする言葉(お念仏)
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
経典
『阿弥陀経』『観無量寿経』『無量寿経』
本山
総本山
知恩院(華頂山知恩教院大谷寺)
京都市東山区新橋通東大路東入、林下町
各派(西山三派)
西山浄土宗 光明寺 長岡京市粟生西条ノ内
西山深草派 誓願寺 京都市中京区新京極桜之町
西山禅林寺派 禅林寺(永観堂)京都市左京区永観堂町
教義
阿弥陀仏の本願を信じ、「南無阿弥陀仏」を唱えれば、すべての苦しみから救われ、日々安らかに送り幸せな人生を全うし、阿弥陀仏の浄土に生まれることができるとしています。
浄土宗の歴史
浄土宗は、インドでおこった浄土教がもとになっています。その教えは、極楽にいる阿弥陀如来の名を念じていれば、どんな罪も苦しみも消え、明るい安らかな毎日を送れ、そのままの姿で浄土に生まれることができるというものです。
比叡山で厳しい修行を続けても満足のいくような救いを得られなかった法然は、中国の僧が著わした書物に出会い、一心に「南無阿弥陀仏」と声に出して唱えることこそが救いの道だと決意します。
やがて法然は比叡山を去り、京都に出て教えを広め始めたのです。しかしその後、大きくなった教団に対して反発が強くなり、念仏停止の命令が出たり、法然も四国に流されるなど、さまざまな圧迫を受けました。 後に帰洛を許された法然は、建暦二年(1212)にその生涯を閉じるまで、全力で布教に取り組みました。
浄土宗の主な年中行事
月 | 日 | 行事 |
1 | 1 | 修正会(しゅしょうえ) 正月に修する法要 |
1 | 25 | 御忌会(ぎょきえ) 宗祖・法然上人の亡くなった忌日、お徳をたたえる法要 |
2 | 15 | 涅槃会(ねはんえ) お釈迦さまが亡くなった忌日 |
2 | 29(28) | 鎮西忌(ちんぜいき) 浄土宗の二祖・鎮西聖光上人の忌日法要 |
3 | 14 | 善導忌(ぜんどうき) 法然上人が師と仰がれた高祖・善導大師の法要 |
3 | 下旬 | 春季彼岸会(ひがんえ) 春分の日の前後、極楽へのあこがれを起こす日 |
4 | 7 | 宗祖降誕会(しゅうそごうたんえ) 法然上人のお誕生法要 |
4 | 8 | 花祭り・潅仏会(はなまつり・かんぶつえ) お釈迦さまの誕生会 |
7 | 6 | 記主忌(きしゅき) 浄土宗の三祖・記主良忠上人の忌日法要 |
8 | 13~16 | 盂蘭盆会(うらぼんえ) ご先祖さまをおまつりする日 |
9 | 下旬 | 秋季彼岸会(ひがんえ) 秋分の日の前後、極楽へのあこがれを起こす日 |
10~11月頃 | 十夜法要(じゅうやほうよう) 南無阿弥陀仏のみ名を称えて善根を積む法要 |
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12 | 8 | 成道会(おさとりの日) お釈迦さまのおさとりの記念日 |
12 | 31 | 除夜 |