今から、1350年ほど昔のこと、大和の国茅原(ちはら)の里で生まれた小角(後の役行者)は、幼い頃から呪術にかけては特異な才能を持っていた。
優れた修験者になるため、山に籠り厳しい修練を重ねた小角は、ついに金剛山で法起菩薩を感得し、神通力を持つようになった。
ところがある夜、孔雀明王が夢枕に立たれ、生駒山の二匹の鬼を不動緊縛(ふどうきんばく)の術で捕らえ、人々を救えと告げられた。
すぐさま生駒山に籠り、行をすると満願の日に鬼が現われ、小角が秘法をつかうと鬼は全身がしびれ動けなくなったという。
この小角が生まれたといわれる現在の吉祥草寺には、生駒山で術をかけられ、以来弟子になったという前鬼(ぜんき)義覚、後鬼(ごき)義賢の像や小角が産湯をつかった境内の井戸が今も残っている。
吉祥草寺地図
アクセス
JR和歌山線「玉手駅」より徒歩約9分