曹洞宗のご本尊とお仏壇の飾り方
宗祖のことば ―道元禅師―
仏道をならふというは、
自己をならふなり。
自己をならふといふは、
自己をわするるなり。
自己をわするるといふは、
万法に証せらるるなり。
万法に証せらるるといふは、
自己の身心、
および佗己の身心をして脱落せしむるなり。
『正法眼蔵』現成公案
「自己をならふ」というのは、この世に生まれる以前から備わっていた、尊い徳や限りない智慧を、己れのなかにしっかりと見つめることです。
「自己をわするる」とは、ひたすら坐禅に取り組むことです。
「万法に証せらるる」とは、己れの小さな自我を棄てさって、宇宙の真理と一つになることです。
自分が自分がとか、自分だ他人だという狭い心をぬぐさって、身体をまっすぐに調えて坐禅すれば、大きな清らかな世界に入ってゆける。
それが、宇宙の真理と一つになることだと、道元禅師は説かれているのです。
そして、これは決して難しいことではありません。
私たちは、本来、仏であり、坐禅を一分すれば、一分の仏。それが、悟りということなのです。
曹洞宗のご本尊と歴史
ご本尊
釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)
脇侍
ご本尊に向かって右側……高祖道元禅師
ご本尊に向かって左側……太祖瑩山禅師
高祖
道元禅師 (1200~1253)永平寺の開山
太祖
瑩山禅師 (1268~1325)総持寺の開山
宗紋
お唱えする言葉
南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)
経典
『般若心経』 『観音経』 『修証義』
本山
大本山永平寺福井県吉田郡永平寺町
大本山総持寺横浜市鶴見区鶴見町
教義
わたしたちはみな仏であり、生まれながらに仏心を具えています。しかし、それに気づかずに我まま勝手の生活をして苦しみ悩みの元を作っています。
ひとたび仏さまに懺悔し帰依するならば、心が落ち着いておのずから生活が調えられて明るくなり、社会の役に立つことを喜び、また、どんな苦難にも耐えて生き抜こうとする信念が生まれます。そこに生きがいと幸福を発見するのが曹洞宗の教えであります。
曹洞宗の歴史
曹洞宗は中国にあった宗派ですが、日本で開いたのは道元という僧侶です。
道元は十三歳で出家し、比叡山で修行を始めます。しかし、本来仏である人間がどうして修行しなければならないのか、という疑問がわいてきました。そこで、山を下り、栄西の門下に入ったのです。
本来の禅を知りたくなった道元は、二十四歳の時、宋に渡って厳しい修行を続けました。そして得た悟りは、ただひたすらに坐禅しなさいということなのでした。
臨済宗では坐禅が悟りを開くための修行であるとの考えですが、道元は坐禅そのものが悟りである、坐る姿が仏であると信じることが大切だと説いています。
曹洞宗の主な年中行事
月 | 日 | 行事 |
1 | 1~3 | 転読大般若(てんどくだいはんにゃ) 転読大般若(てんどくだいはんにゃ)『摩訶般若波羅蜜多経(通称:大般若経)』の経文を読み、世界の平和や各参列者の平安などをご祈祷する法会 |
1 | 26 | 高祖道元禅師降誕会 道元禅師の生誕を祝う日 |
2 | 15 | 涅槃会(ねはんえ) お釈迦さまの最期の様子を描いた「涅槃図」をかけて、そのご遺徳をしのぶ法要 |
3 | 下旬 | 彼岸会(ひがんえ) 春分の日の前後 |
4 | 8 | 釈尊降誕会(花まつり) お釈迦さまのお誕生をお祝いする日 |
8 | 15 | お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ) この世に生きる私たちと、大切な亡き人とが触れ合う大切な行事 |
9 | 下旬 | 彼岸会(ひがんえ) 秋分の日の前後 |
9 | 29 | 両祖忌 太陽暦での9月29日に両祖が示寂したとし、その日を両祖忌と定め各寺院では報恩の法要を営みます。 |
10 | 5 | 達磨忌 達磨大師の命日にあたり報恩の法要を営み、ご遺徳をしのぶ日 |
11 | 21 | 太祖瑩山禅師降誕会 瑩山禅師の生誕を祝う日 |
12 | 8 | 成道会(じょうどうえ) お釈迦さまがお悟りを開かれた事をお祝いする日 |
12 | 31 | 年末の行事 除夜の鐘 |